適職の見つけ方
生徒:
先生、自分に向いている仕事が分かりません。求人を見ても、「この仕事なら続けられそう」と思えるものがなかなか見つからないです。
先生:
それは珍しいことではありません。最初から「自分の適職はこれだ」と分かっている人のほうが少ないです。まず、「適職」という言葉の意味を整理してみましょう。適職とは、自分の得意なこと、性格、価値観、働き方の希望などと相性がよい仕事のことです。
生徒:
ということは、「好きな仕事」と同じではないのですか。
先生:
必ずしも同じではありません。好きなことでも、仕事として毎日続けると負担になることがあります。一方で、それほど強い興味がなくても、自分の性格や得意なことに合っていて、長く続けられる仕事もあります。
生徒:
では、適職を見つけるには何から始めればいいですか。
先生:
まずは自分を知ることです。これを「自己分析」といいます。自己分析とは、これまでの経験を振り返り、自分の得意・不得意、好き嫌い、価値観などを整理する作業です。
生徒:
自分には特別な長所がない気がします。
先生:
長所は、必ずしも「リーダーシップがある」「営業成績が高い」のような目立つものでなくて構いません。「同じ作業を丁寧に続けられる」「決められた手順を守れる」「人の話を落ち着いて聞ける」なども立派な強みです。
生徒:
苦手なことも考えたほうがいいのでしょうか。
先生:
むしろ重要です。適職探しでは、「何ができるか」だけでなく、「何をすると強く疲れるか」を知る必要があります。たとえば、接客そのものはできても、一日中知らない人と話し続けると強く消耗する人もいます。
生徒:
なるほど。「できる」と「向いている」は違うのですね。
先生:
その通りです。また、仕事内容だけではなく、職場環境も考えましょう。静かな場所が合う人もいれば、人が多く活気のある場所のほうが働きやすい人もいます。
生徒:
でも、自分で考えているだけだと本当に合っているのか不安です。
先生:
その場合は、求人票を読むだけで決めず、仕事について調べたり、職場見学をしたり、実際に経験した人の話を聞いたりするとよいでしょう。適職は、考えるだけで見つけるものではなく、情報を集めながら少しずつ絞っていくものです。
適職を見つけるための具体的な方法
適職を探すときに最も大切なのは、「職業名」だけで判断しないことです。同じ事務職でも、電話対応が多い職場もあれば、データ入力が中心の職場もあります。同じ介護関係の仕事でも、利用者と直接関わる仕事と、書類や請求業務を担当する仕事では求められる能力が大きく異なります。
そのため、まず自分の「得意な行動」を整理します。
たとえば、「数字を確認するのが苦にならない」「決められた手順に沿うほうが安心する」「一人で集中して作業するのが好き」「困っている人を助けることにやりがいを感じる」などです。
ポイントは、「私は責任感があります」といった抽象的な言葉だけで考えないことです。「どのような場面なら自然に行動できるか」という形で考えると、自分の特徴が見えやすくなります。
次に、苦手な環境を整理します。
例えば、「急な予定変更が何度も起きる環境は疲れる」「大勢の前で話す仕事は負担が大きい」「ずっと同じ姿勢でいるのが苦手」などです。
ここで大切なのは、苦手なことを欠点と考えすぎないことです。適職探しでは、苦手を把握することも重要な情報になります。人にはそれぞれ向き不向きがあります。営業が苦手だから能力が低いということではありません。営業には向いていなくても、正確な事務処理や専門的な作業では力を発揮できる場合があります。
さらに、自分が仕事に何を求めるのかを整理します。これを「価値観」といいます。価値観とは、自分が何を大切だと感じるかという考え方です。
仕事の価値観には、「収入を重視したい」「休日を確保したい」「安定して長く働きたい」「人の役に立ちたい」「専門知識を生かしたい」「自分のペースで働きたい」などがあります。
すべての条件を満たす仕事を見つけるのは難しいため、自分の中で優先順位をつけましょう。
例えば、
「給料は多少低くても残業が少ないほうがよい」
「通勤時間が多少長くても、自分に合った仕事内容を優先したい」
「仕事のやりがいより、安定した勤務時間を重視したい」
というように考えます。
次に、自分の特徴と職業を照らし合わせます。このとき便利なのが、「得意・苦手・希望条件」の三つを紙に書く方法です。
例えば、
得意なことは「正確な作業、確認、記録」。
苦手なことは「強い営業ノルマ、大勢への接客」。
希望する条件は「ある程度決まった勤務時間」。
このように整理すると、営業職よりも、一般事務、医療事務、経理補助、在庫管理などのほうが候補になりやすい、と考えられます。
ただし、この段階で一つの職業に決める必要はありません。むしろ、三つから五つ程度の候補を出し、それぞれについて調べるほうが現実的です。
仕事を調べるときは、求人票の「職種名」だけでなく、「仕事内容」の欄を詳しく読みます。
さらに、「一日の仕事の流れ」「忙しい時間帯」「一人で行う仕事か、チームで行う仕事か」「電話対応は多いか」「残業はどの程度か」といった点まで確認できれば、自分との相性を判断しやすくなります。
また、適職は頭の中だけで完全に判断できるものではありません。実際に働いてみて初めて分かることも多くあります。
そのため、可能であれば職場見学、短期アルバイト、派遣、職業訓練などを利用し、実際の仕事に触れてみることも有効です。
そして忘れてはいけないのが、「適職は一生変わらないものではない」という点です。
経験を積むことで得意なことが増えたり、年齢や生活環境によって仕事に求める条件が変わったりします。20代で合う仕事と、30代や40代で働きやすい仕事が違うこともあります。
そのため、「絶対に失敗しない仕事を一度で見つけなければならない」と考える必要はありません。
大切なのは、自分のことを理解し、仕事について具体的に調べ、少しずつ合う方向へ近づいていくことです。
もし仕事選びで迷った場合は、「何が一番やりたいか」だけでなく、「何なら無理なく続けられそうか」という視点を持つと選択肢が広がります。
仕事は長い時間を使うものです。そのため、一時的な憧れよりも、長く続けられるかどうかを考えることが、適職を見つけるうえで非常に重要になります。
まとめ
適職を見つけるためには、まず自分の得意なこと、苦手なこと、仕事で大切にしたいことを整理します。そのうえで、職業名だけではなく実際の仕事内容や職場環境まで調べ、自分との相性を考えることが大切です。
最初から完璧な仕事を見つける必要はありません。いくつかの候補を比較し、実際の経験も取り入れながら少しずつ絞っていけばよいのです。
「何が好きか」だけでなく、「何なら自分らしく、無理なく続けられるか」まで考えること。それが、自分に合った適職を見つけるための大きな手がかりになります。
厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User
job tag「個人での利用・適職を知る」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/personaluse?utm_source=chatgpt.com
厚生労働省「キャリアを見直したい」
https://www.mhlw.go.jp/roudou-navi/incumbent/03.html?utm_source=chatgpt.com
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